口腔外科とは

口腔外科とは、口のなかにあたる「口腔(こうくう)」や「顎(あご)」、その周辺の疾患に対して行う外科的治療のことを指します。

対象となる症例

そのほか、食事や会話(発音)がしにくい場合にも、その機能を整えるため外科的治療を行うこともあります。

また口腔外科治療は、医師の技術によっても審美的、機能的な仕上がりが異なる場合も考えられます。そのため口腔外科治療を行う際には、主治医の経験や実績も十分にご確認ください。

なお、私自身は若い頃から積極的に口腔外科を取り扱った経験があるため、技術には自信、定評があります。またより詳しい専門の歯科医師の見解が必要な場合や、心臓病や糖尿病など疾患による服薬で注意が必要な場合には、より充実した外科専門の医療環境が整う病院と連携して治療を行います。まずはお気軽にご相談ください。

親知らず

親知らずとは、上下左右それぞれの一番奥に生える「第三大臼歯」のことをいいます。そもそも親知らずは、すべてのケースで抜かなければいけないものではありません。
ただし、次のような場合には、ストレスや口元の機能改善のためにも、抜歯をしたほうが良いでしょう。

  • 親知らずがむし歯
  • 親知らず周辺が歯周病
  • まっすぐに生えていないので、ブラッシングが届きにくい(むし歯のリスク)
  • 親知らずが原因でかみ合わせが悪い
  • 隣の歯を押しているため、歯並びに影響する可能性がある
  • 親知らず周辺が感染症を起こし、繰り返し腫れる など

特に難しい3つのタイプ

次のようなケースの親知らずは、一般的な抜歯ではなく、切開や縫合を伴う外科的治療が必要となります。当院では、臨床経験豊富な医師が手術を行うため、ご安心ください。

  • 親知らずが斜めに生えている(一部が歯茎に埋まっている)
  • 親知らずが水平に生えている(全体が歯茎に埋まっている)
  • 親知らずはまっすぐ生えているけれど、周辺との隙間がほとんどない

お子さんの上唇小帯/舌小帯 切除

お子さんのなかには、先天的、もしくは後天的に上唇の粘膜のひだ「上唇小帯」や、舌の裏側にある膜組織「舌小帯」が短く、歯茎と一体化していることもあります。この場合、口元本来の機能を損ねる可能性があるため、簡単な切除手術を行うことで機能の改善を目指します。

ただし、なかには切除を急がなくていいケースも。
お子さんの状態をしっかりと確認しながら、切除時期や必要性をしっかり考えていきましょう。

上唇小帯短縮症(上唇小帯付着異常)

上唇小帯(じょうしんしょうたい)短縮症とは、上唇の真ん中部分にある粘膜のひだ「上唇小帯」が短い状態を指します。
上唇小帯が短いと、上顎(じょうがく/うわあご)を開けにくくなるため、顎(あご)の発達や歯並びへの影響や、歯のトラブルも起こりやすくなるのです。

上唇小帯短縮症のよくある影響
  • 上手に母乳が飲めない
  • 汚れがたまりやすいため、むし歯ができやすい
  • すきっ歯(前歯の間隔があいた状態)になりやすい
  • 歯並びやかみ合わせに影響が出る など

舌小帯短縮症(舌癒着症)

舌小帯(ぜつしょうたい)短縮症とは、舌の裏側にある連続したひだ「舌小帯」が短い状態を指します。多くの場合で、舌小帯が歯肉に固定されているような状態になっているため、舌の動きに制限があります。

舌小帯短縮症のよくある影響
  • 上手に母乳が飲めない
  • 飲食が上手にできない
  • 適齢期(3~5歳程度)になっても、はっきり発音ができない など

顎関節症(がくかんせつしょう)

顎関節症(がくかんせつしょう)とは、顎関節(あごかんせつ)が動かしにくい、もしくは動かすと痛みを伴う症状のことをいいます。

聞き馴染みのある名前からもわかるように、口腔トラブルのなかでも珍しくはない症例です。そして症状の出方には個人差があり、症状が一時的であったり、生活に支障をきたすほど症状が出ていなかったりする場合には、治療を必要としないケースもあります。

次のような症状に心当たりのある方は、まずはお気軽にご相談ください。

主な症状

  • 口を開くと、顎(あご)に痛みが出る
  • 口が開けづらい
  • 顎関節(あごかんせつ)の音が鳴る など

主な治療

痛みを落ち着かせる
  • 鎮痛薬
  • レーザー照射
顎関節(あごかんせつ)や筋肉への負担を減らす
  • マウスピース(スプリント)
  • 生活指導(長時間の咀嚼や姿勢、食生活に関する注意)
  • 電気刺激 など

口腔がん

口腔がんは、口のなかにできる良性、もしくは悪性のがんのことをいいます。他のがんに比べると、5年生存率は、初期がんで90%と治癒率が高い点も特徴的です。ただし、進行がんでは5年生存率は50%まで落ち込むため、早期発見がとても重要になる症例だといえるでしょう。

予防治療を重要視している当院では、こういった口腔がんの早期発見のためにも、定期的な歯科検診をおすすめしています。
また当院で口腔がんの所見が見られた場合には、専門の歯科医師​をご紹介することも可能です。まずは症状や口元の異変に、より早く気付くことを目指しましょう。

口腔がんができやすい箇所

  • :舌がん(ぜつがん)
  • 歯茎:歯肉がん(しにくがん)
  • 舌と歯茎の間:口腔底がん(こうくうていがん)
  • 頬の内側の粘膜:頬粘膜がん(きょうねんまくがん)
  • 上顎:硬口蓋がん(こうこうがいがん)

このなかでも最も多いとされているのが、「舌がん」です。舌がんは、尖端や内部ではなく、舌の両側にできやすいとされています。

主な症状

次のうち、気になる症状がある方は、早めに受診してください。

初期
  • 硬いしこりに触れることがある
  • 口内炎がなかなか治らない
  • 痛みや出血などはほとんどない
進行がん
  • しこりが外側に大きくなる
  • しこりが深部に大きくなる(進行度が高い可能性がある)
  • 潰瘍ができ、痛みや出血が発生
  • 話しづらい
  • 食事をしにくい
  • 口が開かない